眉タトゥーとは|医療アートメイクとの関係と基本情報

本記事は、医療アートメイクの臨床経験を持つ石橋 夏希が、専門的知見に基づき監修しています。
眉タトゥーはアートメイクと混同されがちですが、施術者や環境、安全性など多くの点で異なります。
正しい知識を持たずに受けると、健康被害や思わぬトラブルにつながるおそれがあります。
眉タトゥーとは
一口に眉タトゥーといっても、実は大きく2つの意味に分かれます。
- 医療行為の眉アートメイク
- 非医療行為の眉タトゥー
どちらも皮膚に色素を入れるという点では共通しています。
しかし非医療行為は得られる美容効果以上にリスクが高く、健康被害を引き起こしたり、後に除去したくても難しい場合があります。
医療行為としての眉アートメイク
眉アートメイクは、厚生労働省により「医療行為」として位置づけられている美容医療のひとつです。
皮膚の浅い層に色素を注入することで自然な仕上がりを実現しつつ、時間の経過とともに少しずつ薄くなるよう設計されています。
これにより施術後もデザインの変更・修正がしやすくなるため、顔立ちの変化や流行に合わせて印象を調整することができます。
非医療行為の眉タトゥー
医療資格のないことに加え、医療施設基準を満たしていない施術全般が眉タトゥーと呼ばれています。
代表的なものとして次のようなタイプに分けられ、いずれも医師法に抵触する可能性が高い施術方法となっています。
タトゥー・刺青
タトゥー・刺青は、眉に半永久的に消えないデザインを施す行為です。
皮膚の深い層(真皮)に色素を入れるため、時間の経過とともに青みがかった不自然な眉になることがあります。
また施術時の衛生管理が不十分な環境では感染症や炎症などのリスクも高まり、安全面で問題が生じるおそれがあります。
インクメイク
インクメイクは「タトゥーは医療行為ではない」とする最高裁の判決をもとに、美容師などの美容分野で提供されている比較的新しい施術です。
アートメイクと似ているもののタトゥーに位置づけられ、施術者の技術差によって色ムラや意図しない残留(タトゥー化)が起こる場合があります。
サロンでの施術
サロンでの施術は、主に2つのケースがあげられます。
- 無資格者の施術
- 有資格者だが医師が常駐・管理していない施設での施術
美容サロンや自宅の一角など、医療機関外でアートメイク行為が行われます。
健康被害や摘発の報告も多く、施術によるトラブルが発生した場合も、適切な医療対応をすぐに受けられないリスクがあります。
眉タトゥーと医療アートメイクの違い
医療アートメイクと眉タトゥーは、施術環境や衛生管理、トラブル対応などに大きな違いがあります。
医師の診察の有無
医療行為としてのアートメイクでは、施術前に必ず医師による問診・診察が行われます。一方、非医療行為では医師が不在のため、自己申告のみで施術が行われるケースがほとんどです。
健康状態を十分に確認しないまま施術を受けると、アレルギー反応や体調不良など、術後に思わぬトラブルにつながるおそれがあります。
痛みへの配慮
医療機関では表面麻酔の使用が認められており、施術中の痛みを大幅に軽減できます。
一方で眉タトゥーでは麻酔の使用が法律上認められていないため、麻酔なしで行われるのが一般的です。
強い痛みによって体が動き、施術者の手元がぶれることで、仕上がりを損なうほか、出血や意図しない箇所への色素の入り込みといったリスクが生じる可能性があります。
施術トラブルへの対応
腫れや出血、アレルギー反応などのトラブルが起きた際は、医療機関なら医師がその場で薬の処方や適切な処置ができます。
一方、眉タトゥーは医療行為が行えないため、トラブル発生時は「病院を受診してください」と案内するしかありません。
治療の遅れにより症状が悪化したり、瘢痕(傷跡)が残るリスクがあり、治療費も全額自己負担となることが多いのが現実です。
衛生管理
医療機関では、医療法に基づいた厳格な衛生基準が適用されています。
使い捨て器具の徹底はもちろん、医療用滅菌器による完全滅菌が義務づけられており、感染リスクを最小限に抑える体制が整っています。
一方で眉タトゥーのような非医療行為を行う施設には、統一された衛生基準がありません。
施設によって衛生管理のレベルに大きな差があり、器具の使い回しや不十分な消毒によって重篤な感染症にかかるリスクが高まるおそれがあります。
眉タトゥーで起きやすいトラブル
医療機関外で行われる眉タトゥーは、健康被害や仕上がりの不具合などさまざまなトラブルを招くリスクがあります。
感染症リスク
衛生管理が不十分な場合、血液を介した感染症を引き起こすおそれがあります。
- B型肝炎
- C型肝炎
- HIV(エイズウイルス) など
医師の診察がない眉タトゥーでは、感染リスクのある人の施術を事前に見分けることができません。
万が一、感染者の血液が付着した器具を使用すると、施術で生じた微細な傷口からウイルスが体内に侵入するおそれがあります。
変色
使用する色素の種類や注入の深さなどによっては、時間とともに色味が変わることがあります。
特にカーボンブラックなどの顔料は黒の発色が良いものの、青みやグレーに変色したり、にじんで塗りつぶしたような不自然な印象になることがあります。
また医療グレードではない色素は成分や品質が不安定なため、予期しない退色やムラが生じやすく、使用した色によっては除去も難しくなる場合もあります。
デザインミス
眉タトゥーでは、骨格や筋肉の動きを十分に考慮せずにデザインされることがあります。眉の位置や角度がわずかにずれるだけでも表情の動きとの違和感が生じ、不自然な印象になりやすいです。
本来、眉は眉骨のラインに沿って入れるのが基本ですが、この位置を外すと顔全体のバランスが崩れ、左右差や不自然な表情につながってしまいます。
契約トラブル
個人でも施術を請け負う眉タトゥーは、契約内容や料金をめぐるトラブルが発生するケースが少なくありません。
- 追加費用の後出し
- 全額前払いによる返金拒否
- 業者との連絡が取れない など
また違法行為が発覚して業者が摘発・倒産(廃業)した場合、コース契約をしていても返金を受けられず、結果的に泣き寝入りとなってしまうケースもあります。
眉タトゥーは簡単に除去・修正できない
眉タトゥーを入れてから「気に入らなければ消せばいい」と安易に考えるのは危険です。眉アートメイクとはまったくの別物であり、除去や修正には大きな制限とリスクが伴います。
修正を断られることがある
失敗した眉タトゥーを医療機関で修正しようとしても断られてしまうケースがあります。
- 色素の種類がわからない
- どの深さまで色素が入っているか分からない など
こうした状態で上から色を重ねると、色がにごったり、線がにじむなどの予期しない変化を起こすリスクが高いです。
すでに青みを帯びていたり、広範囲にムラがあるなど、眉の状態によってもクリニックが責任を負えないと判断して修正自体を受け付けないことがあります。
除去で傷跡が残るリスク
深く入れた眉タトゥーは、一般的なタトゥーや刺青と同様に簡単には消せません。
高出力のレーザーを何度も当てる必要があり、その際に周囲の正常な皮膚も損傷するおそれがあります。
その結果、白い瘢痕(傷跡)が残ったり、皮膚が盛り上がってケロイド状になるなど、消えない傷が眉まわりに残るリスクがあります。
トラブル時の相談について
眉タトゥーでトラブルが発生した場合、症状の程度や問題の内容によって相談先が異なります。
健康被害は放置すると急速に悪化する可能性があるため、一人で悩まずに専門機関へ相談しましょう。
緊急時の対処法
次のような症状がみられる場合、速やかにお近くの皮膚科や救急外来を受診してください。
- 感染症の兆候
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38℃以上の発熱、施術部位の激しい痛み・腫れの悪化、膿の分泌、悪臭
- アレルギー反応
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全身の発疹、呼吸困難、意識混濁
- 重篤な炎症
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顔全体の腫れ、まぶたが開かない、視野の異常
- 染拡大の兆候
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赤い線状の腫れ(リンパ管炎)、リンパ節の腫れ
患部は絶対に触らず、市販薬の使用や化粧品の塗布は避けましょう。
また受診すべきか迷う場合は、救急安心センター(#7119・対応地域限定)に相談してください。
相談窓口一覧
健康被害がある場合は、まず医療機関を受診することが最優先です。
症状がなかなか改善しない場合や、契約・返金などのトラブルがある場合は、次の窓口に相談してください。
- 消費者ホットライン(188)
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契約トラブルや返金請求など、消費生活に関する相談を受け付けています。
- 各都道府県の保健所
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無資格者による施術や衛生面での問題が疑われる場合は、保健所へ通報・相談してください。
- 法テラス(0570-078374)
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法的な問題が生じた場合、情報提供や弁護士・司法書士の紹介を受けられます。(条件により無料相談も利用可能)
相談時は施術業者の情報、契約書・領収書、症状の写真や経過記録などを準備しておくと、よりスムーズに対応してもらえます。
眉タトゥーについてのまとめ
眉タトゥーは一度入れると簡単に修正や除去ができず、健康被害や変色などのリスクも伴います。
施術を検討する際は、安全性や施術適応を判断できる医療機関を選び、非医療行為による施術を避けることがトラブル回避につながります。
