アートメイクについて

本記事は、医療アートメイクの臨床経験を持つ石橋 夏希が、専門的知見に基づき監修しています。
アートメイクは針先に色素を付けながら、皮膚の表面に色素を入れる医療行為です。
メイク代わりになる美容目的だけでなく、乳がん手術後の再建や無毛症、妊娠線、傷跡の修正といった、パラメディカル(医療補助)としての側面も持ち合わせています。
アートメイクとは
アートメイクは部位や目的に応じて手彫りやマシンを使い分け、毛並みや陰影、発色補正など顔のパーツごとの悩みを解消します。
色素を定着させるためには皮膚に傷をつけることから、医師または医師の指示を受けた看護師のみが施術可能です。
最近ではメイク習慣のない方でも印象管理のひとつとして注目されており、性別を問わずニーズが拡大しています。
タトゥーや刺青との違い
タトゥーや刺青は一度入れると消えることはなく、肌の奥深くに色素が残り続けます。
皮膚に色素を入れるのはアートメイクも同じですが、ターンオーバーの影響を受けやすい浅い層に入れるので1〜3年で薄くなっていきます。
またアートメイクは医療行為であるため、麻酔を使用して痛みをコントロールできる点もタトゥーや刺青との大きな違いです。
アートメイク施術者について
アートメイクは専門の知識と技術を学んだ看護師や歯科衛生士(口元のみ)といった、国家資格を持つ施術者が医師の管理下で行うのが一般的です。
アートメイクアーティストとも呼ばれ、技術力やデザインセンス、指名数などで評価されます。
実力のある人気アーティストになると、フリーランスとして複数の医療機関で活動することも珍しくありません。
施術可能な部位
アートメイクは、以下の部位の施術が可能です。
| 施術部位 | 概要 |
|---|---|
| 眉毛 | 薄さ、形、左右差などを整える |
| リップ(唇) | 血色、くすみ、輪郭のぼやけを補正する |
| アイライン | まつ毛の隙間を埋めて目元の印象を際立たせる |
| 頭皮(生え際・ヘアライン) | 地肌の透け感を抑えたり、生え際の形を整える |
| ほくろ | ワンポイントで顔の印象を変える |
| ボディアートメイク | 乳輪・乳頭再建や傷跡、妊娠線をカモフラージュする |
| メンズアートメイク | メンズ向けデザインで清潔感や第一印象を向上させる |
いずれも見た目のコンプレックスが軽減されることで、QOL(生活の質)や自己肯定感の向上にもつながります。
眉毛
リップ
アイライン
頭皮(生え際・ヘアライン)
ほくろ
ボディ
メンズ
アートメイクのメリット・デメリット
アートメイクを入れるとメイク崩れを防げるだけでなく、ベースができあがることでメイクの手間や時間を大幅に短縮できます。
一方で、徐々に色素が薄くなるとはいえ簡単には消せないため、デザインによっては流行や好み、年齢による顔立ちの変化に対応しにくいです。
目元や口元などパーツの土台を整える目的であればメリットになりますが、メイクを完成させるつもりで入れてしまうと自由度が下がってしまうのはデメリットと言えます。
アートメイクの施術の流れ
カウンセリングから施術終了までの所要時間は、部位にもよりますが2〜3時間程度が目安です。
健康状態や体質によっては施術不可となるケースもあるため、施術の安全性を確保するうえでも医師による事前の問診・診察は必須となります。
ダウンタイム
アートメイクは施術部位に傷をつけるため、皮膚が正常な状態に戻るまでの期間として1週間ほどのダウンタイムが設けられています。
この期間の過ごし方は色素の定着率を大きく左右するため、施術部位ごとに日常生活の一部に制限がかかります。
リタッチのタイミング
リタッチのタイミングは色素の残り具合にもよりますが、施術後1〜3ヶ月を目安に行うのが一般的です。
通常2回目の施術で色ムラやデザインの微調整を行うことで定着が安定し、1〜3年はデザインをキープできます。
またデザイン完成後、メンテナンスのために1〜2年おきに行われる色の足し直しもリタッチと呼ばれます。
アートメイクの料金相場
アートメイクは2回セットでの料金が基本となっています。
| 2回セットの料金相場 | |
|---|---|
| 眉 | 13万円前後 |
| リップ | 15万円前後 |
| アイライン(上下) | 12万円前後 |
| 頭皮(生え際・ヘアライン) | 14万円前後〜 ※施術部位・面積による |
| ほくろ | 2万円前後 |
| ボディアートメイク | 7万円前後〜 ※施術部位・面積による |
こうした施術代に加え、指名料や麻酔代、診察料などが別途発生する場合もあるため、予算を組む際は総額で確認するようにしましょう。
アートメイクの注意点
妊娠中・授乳中の方や重度の金属アレルギーなど、健康状態や体質によってはリスクの高さからアートメイクを受けられない場合があります。
服用中の薬が影響することもあるので、自己判断せずに事前の診察で医師に申し出るようにしてください。
施術を受けられない人
アートメイクが健康状態に与えるリスクから、施術を受けられない場合があります。
- 妊娠中
- 金属や麻酔へのアレルギー
- 全身性感染症
- 持病
- 施術部位の皮膚疾患
- 特定の薬を服用中 など
施術部位によって特有の注意点などもあるため、健康状態については医師の診察時に必ず申し出るようにしてください。
合併症(副作用)
稀に、施術後に合併症を引き起こすことがあります。
- アレルギー反応
- 感染症
- ケロイド(肥厚性瘢痕)
- 肉芽腫
健康状態だけでなく、施術後の過ごし方や衛生状態も影響し、施術部位によってはドライアイや口唇ヘルペスの再発リスクもあります。
施術箇所に異変を感じた場合には、速やかにクリニックへ相談しましょう。
検査や他の美容施術への影響
色素が皮膚内に残っている影響や感染症リスクから、一部の美容施術や検査に制限がかかります。
色素部分への脱毛やレーザー・IPLは不可
熱を持つ可能性があるため事前申告が必要
施術後6ヶ月間は献血不可
医療機関で施術や検査を受ける際は、アートメイクが入っていることを必ず申告してください。
アートメイク除去
アートメイクは、レーザー治療や除去液(リムーバー)などを用いて除去することが可能です。
ただし、除去は入れる時以上に費用や期間がかかりやすく、色素の種類・色・定着の深さなどによっては薄くする程度にとどまることもあります。
消す選択肢はあるものの、元の肌に戻すのは簡単ではないことは知っておかなければなりません。
アートメイクのクリニック・施術者の選び方
アートメイクは針を刺す行為を伴うため、皮膚へのダメージやリスクがある医療行為です。医療従事者による安全性の確保が法的にも求められているため、サロンなどの医療機関外での施術は違法となります。
トラブルを避けるためにも、どちらの条件も満たす施設を選ぶ必要があります。
- 医師が常駐している医療機関である
- 施術者が医師または看護師の資格を持っている
無資格者の施術による健康被害や逮捕例などもあるので、安さや手軽さだけで選ばないようにしましょう。
[参考:独立行政法人国民生活センター|アートメイクの危害]
(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000223vo-att/2r9852000002242i.pdf)
[参考:厚生労働省|美容所等におけるアートメイク施術について]
(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001624504.pdf)
アートメイクについてのまとめ
アートメイクは単なるメイクではなく、長期間皮膚に色素が残る医療行為です。
一度入れると簡単には消せないことから、どこで、誰に施術してもらうかで、仕上がりへの満足度や安全性に大きな差が出ます。
価格や手軽さだけで判断せず、任せたいと思えるアートメイクアーティストを見つけることが重要です。
