眉毛アートメイクについて

本記事は、医療アートメイクの臨床経験を持つ石橋 夏希が、専門的知見に基づき監修しています。
眉毛アートメイクは、セルフイメージとQOL(生活の質)の向上をサポートする美容医療のひとつです。
感情表現にも関わる眉は、形や太さ・濃さ、位置を変えるだけで見た目のイメージは大きく変わります。
メイク負担の軽減やすっぴんの底上げだけでなく、印象管理の一環として年代・性別を問わず選ばれています。
眉毛アートメイクとは
専用の針を使って皮膚に色素を定着させ、黄金比(目・鼻・口角位置)や表情筋の動きを踏まえて眉の形をデザインする技術です。
医師の診察や麻酔など医療行為を伴うため、受けられるのは病院・クリニックのみとなります。
こんな眉毛の悩みにおすすめ
- 左右非対称
- 眉毛が薄い、少ない
- 部分的に毛がない
- 病気や治療によって眉毛がない
セルフメイクでは調整が難しい骨格による左右差や毛量不足であっても、眉毛アートメイクなら自然な仕上がりでカバーできます。
また外出前にメイクが決まらないことや、夕方になると眉尻が消えてしまうといった日常的な悩みも解消します。
最近ではメイクの手間を省きたい女性だけでなく、第一印象や清潔感を重視する男性にも選ばれ、年齢や性別を問わず利用者が増えはじめています。
眉タトゥーとの違い
かつて「眉墨(まゆずみ)」とも呼ばれていた従来の眉タトゥーは、のっぺりと塗りつぶしたような平面的で濃いデザインが特徴でした。
一方、現代の眉毛アートメイクは技法が進化しており、本物の毛が生えているような毛並みを描いたり、パウダーメイクのような立体感と柔らかさを表現できます。
またタトゥーは生涯皮膚に色素が残ることが前提ですが、眉毛アートメイクは薄くなることを前提としているのも大きな違いです。
定番の眉デザイン
- 平行眉
- ストレート眉
- アーチ眉
- 平行アーチ眉
眉デザインは顔の輪郭をベースに、表情筋や黄金比に合わせて微調整することで自然に仕上がります。
流行りのデザインを取り入れたい場合も、本来のバランスを無視してしまうと、時間が経ったときに違和感の原因になることがあります。
トレンドを意識しつつも、自分の骨格に似合う形へ落とし込むことがポイントです。
技法による仕上がりの違い
眉の仕上がりはメイクしたようなふんわり感から、自眉のような毛並み再現までさまざまです。
希望の眉デザインやなりたい印象に合わせて、最適な技法を選びます。
2D(パウダー・グラデーション)
霧のような細かいドットでグラデーションをつけるため、パウダーメイクをしたような柔らかい質感に仕上がります。
眉頭を薄く、眉尻に向かって少しずつ濃くしていくことで、眉に立体感が生まれます。
3D(毛並み・ストローク)
毛流れに合わせて1本1本線を描き足すことで、自眉が増えたようなナチュラルな質感を再現します。
すっぴんでも浮かず、もとから眉が整っているかのような仕上がりになります。
4D(ミックス・コンビネーション)
2Dと3Dを組み合わせ、自然な毛流れを描き、隙間を埋めるようにパウダーを重ねる技法です。
眉頭は毛並みで自然に、眉尻はパウダーでキリッとさせるなど、幅広い仕上がりに対応できます。
メリット・デメリット
眉毛アートメイクを入れることで顔立ちに合った眉のガイドラインができ、すっぴんでも眉の形が整って見えます。
上からメイクで描き足すことができるため、その日の気分でデザインも微調整しやすいです。
一方で、太く濃くしっかりめに色を入れすぎると、将来的な顔立ちの変化や好みに合わなくなる可能性があります。
またデザインからはみ出した自眉は自己処理が必要になるため、定期的なお手入れは欠かせません。
施術から完成までの流れ
まれに1回の施術で十分な場合もありますが、1回目でベースを作り、色ムラや薄くなった部分を2回目の施術で補正して仕上げるのが一般的です。
施術当日に完成することはなく、施術間隔にもよりますが、少なくともトータル2ヶ月はみておく必要があります。
見た目の経過
施術後2〜3日は、眉が一時的に濃く、線も太く見えます。
腫れや赤み、表面に残った色素の影響に加え、かさぶたによって色がよりはっきりするためです。
経過には個人差はありますが、1週間ほどでかさぶたが取れ、色みが落ち着くことで自然な仕上がりに近づいていきます。
ダウンタイム
眉毛アートメイク後には、施術による傷が回復するまで約1週間のダウンタイムがあります。
日常生活に大きな支障はありませんが、こまめな保湿ケアが必要になるほか、洗顔や入浴、メイクなどに一部制限が生じます。
この期間の過ごし方が傷の治りや仕上がりに影響するため、なるべく患部に刺激を与えないよう意識して過ごすことが大切です。
持続期間
通常2回の施術で、仕上がりの状態を1〜3年ほどキープできます。
持続期間には個人差があり、肌質(オイリー肌)やライフスタイル、選んだ技法などによっては色抜けが早まることがあります。
リタッチ(修正)
リタッチ(修正)は、デザインを長持ちさせるメンテナンスの施術です。
通常は2回の施術を終えて1〜2年を目安に、色や形の微調整を行います。
必須ではありませんが、色の薄さやデザインの崩れが気になりはじめたタイミングで検討するのがおすすめです。
料金相場
眉毛アートメイクの料金は、2回セットで10万円〜15万円前後が相場の目安です。
クリニックによって料金設定に幅があるほか、診察代や麻酔代、選ぶ技法(3Dや4Dなど)によってもトータルの費用は変動します。
また施術者のランク制度を導入しているクリニックも多く、経験豊富なアーティストを希望する場合は別途指名料がかかる点も考慮しておきましょう。
眉毛アートメイクの注意点
眉毛アートメイクは医療行為のため、リスクや施術上の制限があります。
体質や肌の状態によっては受けられないことや、直近の美容治療・整形やスキンケアの影響でスケジュール調整が必要になることもあります。
将来的な除去の難しさやMRI検査への影響など、見落としがちな施術後の注意点についても事前に確認しておくことが大切です。
施術を受けられない人
- 妊娠中または妊娠の可能性
- 授乳中(断乳または不可)
- ケロイド体質
- 重度の金属アレルギー
- 麻酔薬(リドカイン等)にアレルギー
- 円形脱毛症(進行期のみ不可)
- 重度の皮膚疾患(アトピー、乾癬、湿疹、脂漏性皮膚炎など)
- 皮膚がん・悪性腫瘍(疑い含む)
- 眉に盛り上がったホクロ・イボ・血管腫(直上不可)
- 感染症(HIV、B型・C型肝炎、梅毒など)
- 重度の心臓病
- ペースメーカーや埋め込み型医療機器を使用している
- 血液疾患(血友病、血小板減少紫斑病など)
- 重度の糖尿病(コントロール不良・合併症あり)
- 重度の高血圧
- 腎臓病・透析中
- 自己免疫疾患(膠原病・リウマチ・SLEなど)
- 抗がん剤治療中、免疫抑制状態
- 抗凝固剤・抗血小板薬
- ステロイド剤(長期服用中)
- アルコール・薬物中毒
- 精神疾患
- てんかん発作の既往(主治医の許可)
- 未成年(親権者の同意がない場合)
医師により健康上のリスクが高いと判断された場合、施術を受けることはできません。
この他にも気になる症状や服用中の薬などがあれば、トラブルを未然に防ぐため診察時に必ず伝えるようにしましょう。
眉毛アートメイク前に避けるべき治療・ケア
- 眉まわりの美容整形
- イソトレチノイン(治療後から起算)
- 額や眉間、こめかみへの脂肪注入
- 眉毛パーマ
- レチノール・ビタミンA製剤(化粧品含む)
- 眉まわりの美容医療(脱毛・レーザー・ピーリング)
- 額や眉間、目尻への注入治療(ヒアルロン酸・ボトックス)
- 眉毛の脱色やカラーリング
- 過度な日焼け
- 眉の自己処理(ワックス、毛抜き、カミソリ)
肌や筋肉の状態によっては色素の定着が悪くなったり、本来の位置とはズレたデザインに仕上がってしまうリスクがあります。
期間はあくまで目安となり、クリニックによって判断が異なることもあるため、事前に確認してスケジュールを調整しましょう。
合併症(副作用)
皮膚に針を刺して色素を入れるため、傷口から細菌が入ったり、体質に合わないことで合併症を引き起こすことがあります。
- 感染症(毛嚢炎・化膿)
- アレルギー反応
- ケロイド(肥厚性瘢痕)
- 肉芽腫(しこり)
特に眉まわりは皮脂分泌が多いため、施術によってできた傷によりニキビのような炎症(毛嚢炎)ができやすい部位です。
強い腫れや痛み、膿が出るなどの症状がある場合、速やかに施術を受けたクリニックに相談してください。
医療機関外での施術リスク
タトゥーやインクメイクと称して、サロンや美容室、個人宅などで眉毛アートメイクに類似した行為が行われているケースがあります。
こうした環境での施術は医療機関とは異なり、医師による事前診察や、痛みを和らげる麻酔といった医療行為が行えません。
医療機関外での施術による健康被害も報告されているため、眉毛アートメイクを受ける際は必ず医療機関へ相談するようにしてください。
[参考:独立行政法人国民生活センター|アートメイクの危害]
(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000223vo-att/2r9852000002242i.pdf)
MRI検査への影響
眉毛アートメイクをしていても、基本的にMRI検査は受けられます。
ただし、使用している色素には微量ながらも金属成分が含まれているため、熱を持ったり、ピリピリしたりすることがあります。
また検査画像が乱れ、正確な診断ができなくなる可能性があるので、検査を担当する医師や技師に眉毛アートメイクを入れている旨を必ず伝えるようにしてください。
眉毛アートメイクの除去について
好みやトレンドが変化したり、変色・色ムラなどデザインが劣化した際は、過去に入れた色素をレーザーやリムーバーを使って除去できます。
ただし、色素の種類・色・定着の深さなどによっては完全には消えず、目立たないくらい薄くなる程度にとどまることもあります。
おすすめのクリニック・施術者の選び方
眉毛はアートメイクの中でも定番の施術となるので、他部位に比べて提供するクリニックの数は非常に多い傾向にあります。
なかには有名クリニックなどもありますが、在籍する施術者は新人から経験豊富なベテランまでさまざまです。
そのため場所や知名度で選ぶよりも、症例写真やデザイン傾向から好みに近い施術者を選ぶと仕上がりへの満足度につながりやすくなります。
眉毛アートメイクについてのまとめ
眉毛アートメイクはメイクの手間を減らし、整った眉をキープできるのが大きな魅力です。
しかし、一度入れると修正が簡単ではないため、メリットだけでなくリスクについても把握したうえで検討するのが大切です。
施術を受ける際は価格や知名度だけで判断せず、好みに合う信頼できる施術者を探してみてください。
