アートメイクとタトゥー・ 刺青(入れ墨)の違い|医療とボディアートの境界線

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本記事は、医療アートメイクの臨床経験を持つ石橋 夏希が、専門的知見に基づき監修しています。

アートメイクとタトゥー・刺青(入れ墨)は、「同じもの」と思われがちです。
しかし実際には大きく異なり、違いを理解しないまま施術を選んでしまうと「思っていたのと違う」「生活に支障が出る」といった後悔につながることもあります。
このページではアートメイクとタトゥーの代表的な違いを整理し、それぞれの特徴をわかりやすく解説します。

目次

アートメイクとタトゥー・刺青(入れ墨)の違いについて

アートメイクを検討するとき、「タトゥーと何が違うのだろう」と疑問を持つ方は少なくありません。

以下では、目的・方法・安全性・社会的イメージといったポイントごとに2つの違いを比較していきます。

法的な違い

アートメイク

2023年の厚生労働省の解釈によれば、アートメイクは医療行為とされ、医師または医師の管理下でのみ施術が可能とされています。この通知自体は国民の権利や義務を直接定めるものではありませんが、実際の取締りや行政の運用はこの解釈に基づいて行われることが想定されます。

[参考:厚生労働省|医師免許を有しない者によるいわゆるアートメイクの取扱いについて]
(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc7817&dataType=1)

タトゥー・刺青

2020年の最高裁判決で「医療行為には当たらない」と判断しています。なお、この判決はタトゥーに限るもので、アートメイクは引き続き医療行為とされます。

[参考:裁判所|平成30年(あ)第1790号 医師法違反被告事件]
(https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-89717.pdf)

同じように皮膚に針で色素を注入する行為でも、目的や社会的な位置づけが異なることからそれぞれ別の扱いとなっています。

目的の違い

アートメイク

美的補正・日常生活の向上・医療補助が目的。清潔感や好印象を与え、加齢や病気による変化をカバーする役割もあります。

タトゥー・刺青

自己表現やファッションとしてデザインを楽しむことが目的です。模様やシンボルを体に刻むことで個性を表し、文化的・伝統的な意味を持たせる場合もあります。

このように、実用性を求めるか、表現を求めるか、アートメイクとタトゥーの目的は大きく違います。

色素を入れる深さ

アートメイク

およそ0.18〜0.2mmの表皮から基底膜付近にかけて色素を入れます。皮膚のターンオーバーの影響を受けるので、1〜2年ほどで薄くなりはじめます。

タトゥー・刺青

真皮層にあたる1.5〜2mm程度の深さに色素を入れます。ターンオーバーの影響を受けないため、半永久的に残り続けます。

アートメイクはタトゥーのように残すことを目的としておらず、一定期間で薄くなることを前提に設計されています。

そのため、皮膚の代謝で自然に入れ替わる浅い層を狙って色素を入れるのが特徴です。

インク(色素)の違い

アートメイク

アートメイク用のインクは、アレルギーリスクや安全性を考慮した無機顔料(酸化鉄や二酸化チタン)を使用するのが主流です。基本的には海外製品となり、FDA(米国食品医薬品局)やEMA(欧州医薬品庁)で認可されたものが使われます。

タトゥー・刺青

タトゥー用インクは、色の発色やカラーバリエーションの豊富さから有機顔料が主流です。赤・青・黄など鮮やかな色合いを長期間維持できるのが特徴となっています。

アートメイクは安全性を最優先に、タトゥーは発色などデザイン力を重視してインク(色素)が選ばれています。

アートメイクの色について

痛みの違い

アートメイク

施術前に表面麻酔を使用するため、痛みをほとんど感じません。患者さんの多くが「チクチクする程度」「毛を抜くような感覚」と表現します。

タトゥー・刺青

麻酔を使わずに施術になり、真皮層まで針が到達するので鋭く強い痛みを伴います。部位やデザインの大きさによっては長時間続くため、心身の負担も大きくなります。

このように痛みについては、医療行為であるアートメイクは表面麻酔によって大幅に軽減できます。

アートメイクの痛みについて

持続期間の違い

アートメイク

アートメイクの持続期間は1〜2年が一般的とされ、最大でも3年とされています。完全には消えませんが、時間の経過とともに色素は代謝され、基底膜付近に入ったインクが薄っすら残るのが特徴です。

タトゥー・刺青

一度入れた色素は真皮層に定着するため、自然に消えることはありません。経年変化で多少のムラやにじみがでても、半永久的に残り続けます。

タトゥーと違いアートメイクは一定期間で薄くなるので、ライフステージや好みの変化に合わせて修正することが可能です。

安全性の違い

アートメイク

使用する針やカートリッジはすべて使い捨てで、器具の滅菌や廃棄も医療基準に基づいて管理されます。さらに施術前には健康状態や皮膚のチェックが行われ、感染症やトラブルを防ぐ仕組みが整っています。

タトゥー・刺青

安全管理のマニュアルなどはなく、施術環境や施術者の知識・技術に大きく左右されるのが現状です。管理が不十分な場合には、感染症などの合併症が起こるリスクも指摘されています。

アートメイクは医療基準に基づく安全性が担保されているのに対し、タトゥーは施術者ごとの自主的な管理に依存する点が大きな違いです。

アートメイクの針について

アフターケアの違い

アートメイク

施術後は必要に応じて軟膏や鎮痛薬が処方されることがあり、感染などの症状が出た場合にも医師が診察・治療を決める体制があります。経過観察やトラブル対応を含めて、医療的なサポートが受けられる点は大きな安心材料です。

タトゥー・刺青

医療機関ではないためセルフケアが基本となります。施術者からの指示に従って清潔に、専用フィルムや軟膏を用いて自己管理することが推奨されます。

こうしたアフターケアの体制の違いが、安心感の差につながってきます。

費用の違い

アートメイク

料金は施術部位やデザイン内容によって異なりますが、人気の眉であれば1回5万〜9万円前後が相場です。基本2回の施術を行い、デザインを安定させるには半年〜1年程度ごとにリタッチを行う必要があるため長期的には継続的な費用が発生します。

タトゥー・刺青

デザインの大きさや施術にかかる時間によって費用が決まります。小さなワンポイントなら数千円〜数万円、大きなデザインでは数十万円以上になることもあります。

アートメイクのデザインを維持するために定期的な支出が必要となり、タトゥーはデザインによって初期費用が大きくなります。

アートメイクのリタッチについて

社会的イメージ・日常生活への影響

アートメイク

日常生活において違和感をもたれることはほとんどありません。仕事や公共の場でも自然に溶け込みやすく、年齢やライフスタイルを問わず選ばれています。

タトゥー・刺青

自己表現やファッションとして認知が広がりつつありますが、依然として社会的に制限を受ける場面があります。温泉やプール、スポーツジムなどでは入場制限がある場合もあり、職業や文化によっては偏見を持たれることも少なくありません。

社会的には、美容医療のひとつであるアートメイクと、強い個性を示すタトゥーでは受け止め方が大きく異なります。

アートメイクとタトゥー・刺青(入れ墨)のまとめ

アートメイクとタトゥー・刺青(入れ墨)は、見た目こそ似ていても成り立ちや役割はまったく別のものです。

アートメイクは外見を整えるための美容施術(医療行為)であり、タトゥーは自己表現や文化的背景を持つボディアートです。

どちらが良い悪いではなく、求める目的に応じて理解し選択することが大切です。

よくある質問

タトゥーで眉毛アートメイクはできますか?

技術的には可能ですが、一度入れると修正が難しく、形や色を変えるのは容易ではありません。

眉毛はトレンドや年齢によって好みも変わるので、半永久的に残るタトゥーで眉毛を入れるのは避けた方がいいでしょう。

眉毛アートメイクについて

眉など同じ部位に施術をした場合、他人に知られやすいのはどちらですか?

眉でいえば、毛並み表現など本物に近い仕上がりのアートメイクは、施術を受けたこと自体に気づかれにくい傾向があります。

一方、タトゥーは眉を描くことを前提としていません。

色素が濃く入ることで”のっぺり”とした印象になりやすく、いわゆる眉タトゥー(眉墨)のように見えがちです。

就職や転職でアートメイクやタトゥーは不利になりますか?

アートメイクは自然に見えるため不利になるケースはほとんどありませんが、タトゥーは職種や業界によって評価が分かれることがあります。

石橋 夏希
医療アートメイクアーティスト / 看護師
Besecure専属の監修者です。

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